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紀伊民報掲載「ママさん記者体験記①〜⑥」

紀伊民報に認定団体のCom子育て環境デザインルームの学齢期版連続講座が連載として取り上げられました。

(以下原文)


ママさん記者体験記① 子どもの発達に沿った「期待」を

学齢期版連続講座

育児スキルを学ぶアメリカのプログラム「コモンセンス・ペアレンティング(CSP)」の学齢期版連続講座が田辺市で始まった。学齢期版の講座は初めてと聞き、小学1年生と4年生の2人の娘がいる記者が参加した。普段ガミガミ叱ったり、「〜しなさい」と押し付けがちだなあと反省する日々。そんな自分を振り返り、子供や家族との接し方を学んでみたい。

(中沢みどり)

 主催は県と田辺市で、NPO「Com子育て環境デザインルーム(コムデザイン)」が実施する。週1回のペースで、3月1日までの全6回、田辺市高雄1丁目の市民総合センターで開く。

 市の担当職員に聞くと、募集開始から2時間で定員を超す申し込みがあったそうだ。子どもが小中学生になっても、子育てで悩むお父さんお母さんがそれだけ多いということだろう。急きょ定員を5人増やし、田辺・西牢婁から小中高校生の保護者や子どもの支援に関わる人たち20人が受講することになった。

 1月24日の第1回は大雪が降ったため欠席した人もいたが、17人が顔をそろえた。

 初めに、コムデザイン代表の松本千賀子さんから講座の説明があった。「コモンセンス・ペアレンティング」は、アメリカ最大の児童福祉施設で開発されたプログラムであること。子どもに「してはだめ」ではなく「こうしてね」と教える方法など、子どもの問題行動を減らして望ましい行動を増やすための育児方法を、親が経験を通して学ぶ講座であることー。  その後、子育ての基礎である「発達」と「育み」についての講義があった。

 親が子どもにできるだろうと期待すること(期待値)と、子どもが実際にできること(発達)にギャップがあると、親も子も互いにストレスがたまる。そのため「子どもの発達を踏まえた適切な期待値を設定することが、親子のストレスを減らし、無理のないしつけができるようになるポイントです」と松本さん。

 また、子どもと一緒の時間を過ごすなど子どもに寄り添う(サポート)、子どもの過ごす環境を整える(世話)、子どものすることを受け止める(受容・共感)、目を合わせたりスキンシップしたりする(愛情を表現)、子どものしたことをほめる・認める(励ます)ーといった「育み」の行動が、親子の絆を強め、また子どもは親からの愛を感じることができ、子どもの成長の基礎になるという。

 初回のため松本さんの講義が中心だったが、2回目以降は、実際にロールプレイ(役割演技)をして、実践的に学ぶことが多くなるようだ。


ママさん記者体験記② 「ちゃんとして」はダメ

学齢期版連続講座

学齢期の子どもがいる親が育児スキルを学ぶ講座「コモンセンス・ペアレンティング」の2回目は、いよいよ具体的なしつけの仕方についての学びに入った。どうすれば子どもの良い行動を増やし、悪い行動を減らせるのか。子どもに「なんでこんなことをしたの?」と聞くのはかえって良くない。「ちゃんとして」などあいまいな表現では伝わりにくいといった話には、思い当たる節が多すぎて、思わず周囲のお母さんたちと苦笑いをした。

(中沢みどり)

 この日、進行役の松本千賀子さん(Com子育て環境デザインルーム代表)がしつけの効果的な方法としてキーワードに挙げたのが「行動の描写」と「結果を用いる」こと。

 「子どもをほめる時、しかる時どちらの場合でも、どんな行動が良かったのか、あるいは悪かったのか、して欲しいことは何かを、具体的に伝えてください」と松本さん。

 たとえば「おもちゃを片付けられたね」というのではなく「お母さんがリカちゃん人形をもう片付けてと言ったら『うん、分かった!』と言って、すぐにリカちゃんハウス片付けたね」と、親が見た子どもの行動や親が聞いたことを再現できるくらい具体的に子どもに伝えると、子どもは自分の行動の何が良かったのか、悪かったのかを理解しやすいという。

 「普段、何でこんなことをするの?とか、ちゃんとしなさい!とか言ってませんか?『何で』と聞いても子ども自身わかりにくいことが多い。『ちゃんとしなさい』はあいまいで、子どもからすればどうしたらいいのか分かりにくい」と松本さん。

 続いて「結果を用いる」手法を学んだ。帰宅したらすぐに手を洗うといった「良い行動」には、テレビをいつもより10分長く見てもいいといった「良い結果」を、ぐずぐずしてすぐにご飯を食べないといった「悪い行動」には、ゲームの時間を10分短くするといった「悪い結果」を用いることで、子どもの良い行動を増やし、悪い行動を減らしていくというものだ。これには、子どもの行動に見合った大きさの「結果」を用意することが大切だという。

 参加したお母さんたちが2人一組になって「親」「子ども」の役を演じ、親の話し方や話す時の環境で子どもの受け取り方がまったく違うことも体験した。子どもの立場になると、なるほど、目も合わさず、離れた場所から大きな声でものを言われたら、威圧的でムカツクとしか思えないな、と実感した。


ママさん記者体験記③ とにかく実践、実践!

学齢期版連続講座

「育児スキルを身につけるのは、車の運転と一緒。習うより慣れろです。」学齢期の子どもがいる親が育児スキルを学ぶ講座「コモンセンス・ペアレンティング」の3回目は、松本千賀子さん(Com子育てデザインルーム代表)のそんな言葉から始まった。この日はほぼ2時間たっぷり使い、前回学んだ「行動の描写」と「結果を用いる」について、スタッフとマンツーマンで実践練習した。

(中沢みどり)

 私たち受講者は五つのグループに分かれ、各班にファシリテーター(進行役)を務めるスタッフが付いた。

 この日の流れはこうだ。まず、DVDが親子のやりとりを描いた短いドラマを見る。受講者が親役、スタッフが子ども役になりきり、ドラマの続きを演じる。ドラマの中で、子どもの行動を親役の私たちが言葉で描写し、それが良い行動か悪い行動かを判断する。そして、良い行動に対しては良い結果を、悪い行動に対しては悪い結果を、子ども役のファシリテーターに伝える−というものだ。

 私の班は、小学生や幼児のお母さん5人がメンバー。実戦練習はファシリテーターと1対1で取り組んだ。毎回、ファシリテーターが行動の描写を用いた結果についてアドバイスをしてくれる。

 DVDは一人一人違った内容。親役は班の全員に回ってくる。ほかのお母さんたちの演技をみて、頭の中でシミュレーションを繰り返す。自分の順番が近くに連れて、緊張が高まってきた。  いよいよ私の番だ。DVDでは、中学生ぐらいの男の子が暑いなあと言い、冷蔵庫を開けながら「ごみを出しておいたよ」と父親に伝えるシーンが流れた。

 「ごみを出したよと言って、きちんとごみを出してきてくれたね」。笑顔で、子ども役のファシリテーターに伝えた。これが「行動の描写」だ。良い行動に対しての良い結果としては「ジュースを飲んでもいいよ」と、言葉を添えた。わが家では、ジュースはたまにしか飲めないごちそうなのだ。

 この日は受講者全員が2回ずつ演じた。自分が演じることと、ほかのお母さんたちの演技を見ることで、少しずつ「行動の描写」と適切な「結果の用い方」に慣れてきた。  家庭でもぜひ、挑戦したい。まずは朝寝坊な次女(7)を起こすところから、この育児スキルを使ってみよう。


ママさん記者体験記④ 褒め方にも「こつ」がある

学齢期版連続講座

大人だって褒められることがうれしいもの。子どもならなおのこと、自分のしたことを認めてもらい、褒めてもらうこと「次も頑張ろう」という気持ちになるだろう。褒め方にもこつがある。親が育児スキルを学ぶ講座「コモンセンス・ペアレンティング」の学齢期版4回目は、子どもの良い行動を増やす「効果的な褒め方」について、実践的に学んだ。

(中沢みどり)

 「効果的な褒め方とは子どものした良い行動を心から認めて、励ますことです」と進行役の松本千賀子さん(Com子育て環境デザインルーム代表)。

 具体的なステップとして①「すごいね!」「ありがとう」と言った商人を示す②子どもの良い行動を明確に話す③褒める理由を話す④良い結果を用いるーの四つを、順序通りに子供に伝えるといいそうだ。説明を受け、この日も実践に移った。

 ②と④は前回と前々回に、効果的で具体的なしつけの方法として学んだ「行動の描写」と「結果を用いる」のこと。良かった行動を具体的に話すことで、子どもに何が良かったのかが伝わりやすいという。

 ③の「理由」は、子どもの「行動」によって、なぜその「結末」になったかをつなげるものだ。子ども目線にたち、その子どもにとって良いことにつながる前向きな理由を挙げればいいという。

 この日も班に分かれ、ファシリテーター役のスタッフとマンツーマンで実践。参加したお父さん、お母さんたちは、実際にわが子の「良い行動」を例に挙げて練習した。

 わが家の場合、小学4年生の長女(10)が、朝起こさなくても自分で目覚し時計をかけて起き、さっと服を着替える。これを「良い行動」として褒める練習に使った。

 長女役のファシリテーターに「すごいね!」と笑顔で呼び掛ける。「朝、お母さんが起こさなくても、自分で起きて着替えられたね!」と良い行動を描写した後、「早く学校に行く用意ができて、遊ぶ時間が増えるね」と理由を話す。最後に「学校に行くまでに、好きなテレビを10分間見てもいいよ」と良い結果を伝えた。

 「小さなことでも、すぐに、その場で褒めること。叱るより褒める割合を増やすことがポイント」と松本さん。学齢期の子どもの場合、変えていきたい問題行動一つに対して、四つ以上子どもの良い行動を褒める必要があるという。

 「一日のうち、どれくらい叱っていますか?褒めていますか?」。松本さんの問い掛けが、胸に痛かった。


ママさん記者体験記⑤ 前もって教え、練習を

学齢期版連続講座

親が育児スキルを学ぶ講座「コモンセンス・ペアレンティング」の学齢期版5回目は「新しい状況」や「以前難しかった状況」と言った子供が将来出会う場面について、どのように行動すればいいかを前もって教え、練習する「予防的教育法」を学んだ。「以前難しかった状況」の実践練習では、どの家庭でもよくある事例がたくさん出題され、お母さんたちはお互いどんなふうに対処するか、真剣に聞き入っていた。

(中沢みどり)

 予防的教育法のステップは三つ。まず①「子どもにしてほしい行動」を明確に話す②そうすることでどんな良いことにつながるのか、子ども目線での前向きな理由を話す③練習するーだ。

 「子どもが店でお菓子が欲しいと言って『だめだよ』と言われた時、よく駄々をこねます。レジで『だめ』を受け入れる練習をしましょう」。指導者の松本千賀子さん(Com子育て環境デザインルーム代表)が、パワーポイントに例題を映した。途端に、お母さんたちから「あー、よくあるわ」と声が上がる。

 この日も、参加者は4班に分かれて実践。私の班では、私がこの例題を担当することになった。

 「だめを受け入れるってどうすれば良かったのかな...」。最初からつまずく。ファシリテーター(進行役)のスタッフに「『うん、わかった』のことよ」とヒントをもらって、ようやく考えがまとまった。私が親役、スタッフが子ども役になり、問題行動があった翌日という設定で始めた。

 「〇〇ちゃん、今ちょっといい?」と声を掛ける。「昨日、レジの前でお菓子を買ってと駄々こねたよね。お母さんがだめといった時は『うん、分かった』と答えてほしいの」と、してほしい行動を伝える。その上で「そうしてくれたら、次に買い物に行った時、お菓子を買ってあげようと思うなあ」と、子どもにとって前向きな理由を話す。

 「じゃあ、今から練習してみようか」と促し、子ども役のスタッフが同様の場面の練習で「うん、分かった」と言うと「すごい!ちゃんと『うん、分かった』って言えたね」と笑顔で褒めた。

 「大人でも子どもでも、人から話を聞いたり、見たりするだけでは半分ほどしか身に付かない。皆さんがこの講座で実践を繰り返すのと同じように、子どもたちも練習を重ねることで、問題行動が改善されるようになります」と松本さん。家でも、子どもたちに「ちょっとやってみようか」と促してみよう。


ママさん記者体験記⑥ まずは、親も落ち着いて

学齢期版連続講座

親が育児スキルを学ぶ「コモンセンス・ペアレンティング」の学齢期版講座も、いよいよ最終回を迎えた。子どもに注意する時、つい怒って大きな声を上げてしまうことがある。でも、大人が感情を高ぶらせては伝えたいことが伝わらないどころか、かえって親子関係を悪くしかねない。まずは自分が落ち着く方法と、その上で、子どもの問題行動を正す方法を学んだ。

(中沢みどり)

 「あなたを怒らせる子どもの行動を出し合ってください:。指導者の松本千賀子さん(Com子育て環境デザインルーム代表)が呼びかけた途端「話しかけても返事しない」「やってと言ったことをしていないのに『もう、分かってるって!』と口答えする」と、お母さんたちから次々に具体例が飛びだした。

 そういった時、自分の気持ちを落ち着かせるにはどうすればいいか、普段していることを挙げていく。深呼吸する。いったんその場を離れる。晩ご飯のメニューなど別のことを考えるー。「そかの人がしている方法を具体的に知ることで、実践しやすくなります」と松本さん。

 さて、大人が心を落ち着かせたところで「子どもの問題行動を正す教育法」に取りかかった。

 ステップは四つ。①子どもの問題行動をやめさせて、問題を明確に話す②悪い結果を用いる③子どもにしてほしい行動を明確に話す④練習するーだ。これまでに学んだ「行動の描写」「結果を用いる」「予防的教育法」を組み合わせた流れになっている。

 この日もわが家でよくある「テレビのチャンネルの取り合いでけんかし、お姉ちゃんAが妹Bをたたく」について、スタッフと実践練習した。

 「Aちゃん、今、チャンネルの取り合いでBちゃんの頭をたたいたよね」と問題行動を明確に話し「Bちゃんの頭をたたいたから、Bちゃんの名前を呼んで謝ってね。その後、宿題を手伝ってあげてちょうだい」と悪い結果を用いる。「今度からは、チャンネルの取り合いでたたいてしまう前に『お母さん来て!今日はどっちがチャンネル選ぶ番だった?』とお母さんを呼んでね。じゃあ、Bちゃんに謝る練習をしようか。」子どもにしてほしい行動を伝え、練習を促した。

 6回の講座を終えて、普段からできるだけ子どもの良いところを見つけ、前向きに、具体的に伝えようと心掛けるようになった。その結果か、娘たちの口答えが減り、進んで手伝いをしてくれるようになったと感じるのは、親の欲目かしら。

=おわり